「我が子を全部受け止める」医師から難病「道化師様魚鱗癬」と宣告された若き母の運命への感謝と新たなる決意
難病を持つ我が子を愛する苦悩と歓び(19)
◼️甦る記憶と母親になった運命
皆でレントゲン写真を眺め、整形外科の先生から丁寧な説明を受ける。
やはり、骨はちゃんとある。
まるで生姜のような形の手も、長靴を履いているかのような足も、中には骨がしっかりとあった。
しかし、皮膚によって正しく成長出来ず、変形を起こしていた。
「とりあえず様子を見ていきましょう」
「もっと大きくなったら、手術して治す方法もある」
「でも、陽くんの場合は、大人になっても必ずしも手術できるとは限らない」とのことだった。
そして、リハビリ施設に通うことを進められ、
その施設名を見て、驚きと同時に古い記憶が甦ってきた。
そこは学生時代、実習でお世話になった施設。
リハビリとは違う科への実習だったが、何度もリハビリ室の前を通っていた。
何度も見ていた。
何人もの頑張る子どもたち、そばで見守るお母さん、厳しくも優しい先生、
そしてたくさんの母親の表情を見てきた。
まだ学生で、自分が母親になることなんて、考えてもいなかった私は「大変そうやな〜」と思いながら、すれ違いざまに挨拶を交わす程度だった。
まさか私自身が、
その頃に見ていた親子のように、あの施設に通うことになるとは、思ってもみなかった。
これも何かの運命だろうか。
積極的でもなく、消極的でもなく、
大勢いる実習生の中の一人、ごくごく平均並みの実習生だった私。
でも子どもたちの頑張る姿は、今でもしっかりと覚えていた。
そして傍(かたわら)に寄り添う、母親の表情も覚えていた。
頑張った我が子を、涙ながらに誉めていた姿を・・・。
神様は、当時、他人事として捉え、挨拶を交わすことしかできなかった私に、学びが足りないと言いたいのか。
いや、違う。
神様は、
陽は、
まだまだ私に、
たくさんのことを学ばせてくれるんだね。
ありがとう。
そう思うと、少し楽になれる気がした。
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【参考文献】
『産まれてすぐピエロと呼ばれた息子』(アメーバブログ)
産まれてすぐピエロと呼ばれた息子(書籍)
ピエロの母
本書で届けるのは「道化師様魚鱗癬(どうけしようぎょりんせん)」という、
50~100万人に1人の難病に立ち向かう、
親と子のありえないような本当の話です。
「少しでも多くの方に、この難病を知っていただきたい」
このような気持ちから母親は、
息子の陽(よう)君が生後6カ月の頃から慣れないブログを始め、
彼が2歳になった今、ブログの内容を一冊にまとめました。
陽君を実際に担当した主治医の証言や、
皮膚科の専門医による「魚鱗癬」についての解説も収録されています。
また出版にあたって、推薦文を乙武洋匡氏など、
障害を持つ方の著名人に執筆してもらいました。
障害の子供を持つ多くのご両親を励ます愛情の詰まった1冊です。
涙を誘う文体が感動を誘います。
ぜひ読んでください。